第4章 「コンフリクトを処理する」 コンフリクトを最小化する、もしくは処理する鍵は何か?
前回はコンフリクトを最小化する職場環境について簡単に勉強しました。
今回は、ズバリ「コンフリクトを最小化する、もしくは処理する鍵」について勉強してみたいと思います。
この命題を考える前に、「コヒーレンス*1」について考えたいと思います。
コヒーレンスとは、物事がかみ合って調和がとれている状態をさします。
このコヒーレンスの状態があるからこそ、人や組織はコンフリクトをよりうまく処理することができるのです。
……この書き方ではややわかりにくいので、少し具体例を考えてみたいと思います。
逆にコヒーレンスでない状態を考えてみます。
噛み合わなくて、調和がとれていない状態ですね。
それでも仕事ができているのだから、その職場では上司が下した命令を部下が唯々諾々と従っている職場なのかもしれません。
あるいは、高圧的な上司に対して常に防衛的な態度をとる部下が揃った職場なのかもしれません。
一見、通常業務自体はこなせるかもしれませんが、そんな職場ではきっとスタッフ間で不満も溜まっていることでしょう。
日々のちょっとしたことでいさかいが起こり、それがすなわちコンフリクトとなって、ある時通常業務にすら支障をきたしてしまうかもしれないのです。
では、そのようなコンフリクトを生まない、あるいは仮に生じてもうまく処理できる「コヒーレンス」な状態の職場にするにはどうすれば良いのでしょうか?
『Managiment and Leadership Skills for Medical Faculity』では、大学病院のような職場を例に挙げています。
特に大学病院のように学究的な医療の現場では、人はしばしば給与以外の要素で職場環境を選択することがあります。
確かに、大学病院の給料は安いですよね。
それでも人が集まるのは(医局人事で仕方がなく、という側面もあるのでしょうが……)多くの職員は持っている能力を発揮し、その環境でさらに成長したいと思っているからです。
したがって、もしも大学病院側が仕事をする上での障害を取り除き、職員や組織がもつ能力を発揮できるように様々なサポートをすることができればどうなるでしょう。
大学病院ならではの煩わしい管理手続きを簡略化し、部門間の情報伝達をよりスムーズにできるように改革したらどうなるでしょう。
職員たちはもともと高いモチベーションを持って集まっているはず。
自ずと職場全体が防御的な態度や上意下達な状態から、より調和のとれたコヒーレンスの状態に移行するのです。
当然、それまで生じていたギスギスした雰囲気を排し、コンフリクトを最小化もしくは処理しやすくできるはずです。
という訳で、今回はコンフリクトを最小化もしくは処理するための鍵になる「コヒーレンス」な状態について勉強しました。
次回は、組織における指針について勉強してみたいと思います。