第1章 「自分を成長させる力」 はじめに
医療の現場は非常に忙しい現場です。
外来や病棟管理、手術に夜間・休日の当直業務まで。
日々何らかの業務に追われているといえるでしょう。
管理職と呼ばれるような立場になればそれに加えて、様々な会議への出席や、後輩や他の医療スタッフの教育、他の医師の勤務管理や他の部門との協議なども加わります。
場合によってはこの他にも病院の経営管理や研究、医学生に対する教育も業務になるかもしれませんし、研究をしていると研究費の獲得や管理などもしなければならなくなります。
学会や研究会に参加し、時にはその世話人を任され、主催することもあるかもしれませんね。
そうしてそうやって忙しく業務をこなしながら、家族や友人・恋人などとの時間を過ごす、趣味を楽しむなどプライベートのための時間も確保しなければなりません。
こうやって忙しく過ごしながらも新しいことに挑戦し続け、状況を改善し続けるためには「自分を成長させる力」が必要になります。
それも、重要で緊急性の高い課題を速やかに解決するためには、効率よく的確に、しかも継続可能な方法で成長を続けなければなりません。
『Managiment and Leadership skills for Medical Faculuty』は、医療の現場で求められるマネジメントやリーダーシップの技能のひとつとして「自分を成長させる力」(原文ではDeveloping YourselfまたはSelf-Developmentとして紹介されています)が最初に挙げられています。
チームや組織を率いる立場の医師に向けて、まずは「自分自身を成長させ続けよう!」というところから始めるのには少し不思議な感じもしますが、参考文献の順番通り始めていきたいと思います。
とはいえ、「自分を成長させる力」あるいはそのための技術とは一体どんな力や技術なのでしょうか。
そして、それは身につけたり、訓練したりできるものなのでしょうか。
参考文献は以下のような図で「自分自身を成長させ続けるための要素」を紹介しています。
ぼんやりと「自分を成長させる」と表現しても、具体的にどうすれば良いのかわかりません。
「自分を成長させる」ということ自体をいくつかの要素に分解し、それぞれを具体化することで体系立てて「自分を成長させる」ことが可能になるのです。
早速、次の記事からそれぞれの要素について勉強していくことにします。