第4章 「コンフリクトを処理する」 健全な職場環境はコンフリクトを最小化する
早速、コンフリクトについて勉強していこうと思います。
組織はその組織環境の健全さを保つことによってコンフリクトを最小化することが可能です。
もちろん、それは逆に言うと健全さが失われればコンフリクトが増えることを意味しています。
健全な環境とは、例えば清浄な水質に似ていると言えるでしょう。
水質がよければ良いほど(具体的には清潔で澄んでいて、pHのバランスが取れていればいるほど)、より多くの生命を維持することができるでしょう。
本章のタイトル写真は水槽の写真にしてみましたが、良い水質を維持しなければ熱帯魚もエビも水草も育てられないのです。
熱帯魚やエビを育てようと思えば、水槽内の水質、pHを適正な範囲内に維持しなければなりません。
話題が少し逸れましたが、海洋の健全さ、そして我々人間の体の健全さは、完全な酸塩基平衡が維持できているかにかかっています。
海洋のpHが適正に保たれていれば、多様な生命を育むことができます。
pHが0.1でも適正値から外れてしまえば、サンゴは死に、多くの生命が苦しむことになるのです。
これは、個人でも、人間関係においても、組織にとっても同様です。
職場環境において「適正なpH」が保たれていれば、各自が果たすべき貢献が明らかになり、責任は果たされ、個人にとっても集団にとっても最良な成果をもたらすことになるでしょう。
このバランスを保つことによって、飛躍的な進歩や学習、革新が手に入れられるようになるのです。
医療者にとっての職場環境とは、その医療者にとって主要な生活環境の一つです。
その状態が「適正なpHの範囲」から外れてしまえば、好ましくない行動や、残念な結果、そしてより多くのコンフリクトを招くことになります。
健全でない職場環境は、職員のモチベーションを下げ、仕事の進捗を遅延させ、結果さらに職場環境が悪化するという悪循環を生じさせます。
このような組織では適切な医療が行われず、働く医療者だけでなく、何よりも患者さんへ被害が及ぶことになってしまいます。
というわけで、今回は適切な職場環境の重要性について勉強しました。
次回は職場環境を適正化し、コンフリクトを最小化させるための鍵について勉強してみたいと思います。