医療の現場で求められる「統率力」

医療の現場で求められる「マネジメント」「リーダーシップ」についてなるべく具体的な事例を交えながら勉強してまとめるブログです。

第3章 「フィードバックを利用する」 大切なのはタイミング

 

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早速、「フィードバックを利用する」ことについて勉強していこうと思います。

 

最初に勉強するのは、「フィードバックの与え方」についてです。

 

 

 

「フィードバックの与え方」で最初に何をおいても大切なのはタイミングです。

 

急いでいると、会話の最初からいきなりフィードバックを始めてしまいたくなるものです。

 

ただ、冷静に逆の立場になって考えると、上司から声をかけられたと思ったらいきなりダメ出しから始まった!?と思われてしまうかも知れません。

 

例えば、「先生、ちょっと今いい?」などと声をかけられたかと思えば、「先生のカルテの書き方、もう少し正確に書いた方がいいと思うだよね」などと言われたら、仮に自分自身に落ち度があったとしても少しイラっとしませんか?

 

ちょっとでもイラっとしてしまうと反論したい気持ちになってしまうかも知れませんし、素直に相手の言うことを聞こうなんて思えませんよね。

 

 

 

事実、いきなりフィードバックから会話を始めてしまうと、相手に身構えさせ、自己防衛的な意識を持たせてしまい、会話そのものが受け入れてもらえなくなってしまう可能性すらあります。

 

緊急事態で速やかに指示に従って行動してもらわなければならない緊急事態を除けば、「いきなりフィードバックから始める会話」というのは最悪です。

 

「最近どう?」とか「上手く行っている?」とか「最近困ってることはある?」といった基本的だけれども見落としがちな質問をする時間を作ってから会話を始めていく方が良いでしょう。

 

実際、そうやってアプローチすれば相手も自分が課題にするべき仕事や改善しなければならないポイントを意識することができるはずです。

 

 

 

例えば以下のような会話を例にしてみたいと思います。

 

一つ目がダメな例です。

 

上司:「ちょっと今いいかな?」

部下:「はい、なんでしょうか?」

上司:「新しい電子カルテシステムになってから、みんなのカルテ記載が乱れているんだよね。

もう少し正確な用語を使って、今までのカルテのように『SOAP』のフォーマットに則って書いて欲しい。

他の先生たちにも伝えといてくれる?」

部下:「はぁ……わかりました」

 

次に、タイミングを意識したマシな例です。

 

上司:「ちょっと今いいかな?」

部下:「はい、なんでしょうか?」

上司:「最近、電子カルテを新しいシステムに切り替えたけれど、使い勝手はどう?上手く行っている?」

部下:「そうですね、注射や処方のオーダーはしやすくなったと思います」

上司:「逆に、何か困っていることはある?」

部下:「普段のカルテが書きにくい気がしますね。

以前のカルテみたいにフォーマットが設定されていなくて自由記載形式だから、先生ごとに記載方法が違って読みにくくなってしまっている気がします」

上司:「自分もそう思っていたんだよね。

例えば、デフォルトでフォーマットがなくても『SOAP』形式で書くように統一してみたらどうだろう。

それと、専門用語の使い方をより正確にした方が他の先生にも読みやすいカルテになるだろうね。

他の先生たちにもこの提案を共有してみてもらえる?」

部下:「わかりました、伝えてみます」

 

いかがでしょうか。

 

一つ目の例であれば一方的に「上司が考えた改善策」を押し付けられているだけだと思われてしまいます。

 

二つ目の方が明らかに会話に時間がかかっていますが、なんとなく受容してもらいやすくなった気がします。

 

こうすれば、部下の側も「自分たちがどんなところを課題だと感じているか」「どうすれば良くなると考えているか」を「自分で考えた事」だと受け止めやすくなるはずです。

 

 

 

こうやって勉強してみると、今回勉強した「タイミング」とはフィードバックを提示するタイミングということになります。

 

会話の最初ではなく、まずは質問から始めて、相手が課題だと感じている問題点について言及したら、まさにそのタイミングを狙ってフィードバックを与える、というわけです。

 

物事がそんなに簡単にいくとは限りませんが、ちょっと意識してみると良いかも知れません。

 

 

 

次回は、「サンドイッチ・テクニック」について勉強してみたいと思います。